建築パース・CGパース制作に必須【UVW Randomizer】活用法

建築パース・CGパースを制作する際、広範囲の地面や壁面にテクスチャをマッピングすると、繰り返しパターンが目立ち、リアリティが損なわれることに悩むことがあるだろう。特に、芝生の地面や広いタイルの壁面などで、その問題が顕著に現れる。

以前は、広範囲のテクスチャを用意して対応していたが、手間がかかり、データサイズの負担も大きくなるため、最適な解決策とは言えなかった。

その問題を解決するために、ChaosCoronaマテリアルには「UVW randomizer」というツールがある。このツールの使い方は少しわかりづらいが、理解すれば非常に有用であり、リアリティの表現には必須である。

この記事では、そのUVW Randomizerの使い方を3つのパターンに分けて解説する。ビジュアライゼーションにおいて欠かせないツールなので、ぜひ理解し、活用してほしい。

目次

1. ChaosCorona UVW Randomizerとは?

ChaosCoronaの「UVW randomizer」は、テクスチャをランダムに配置するための便利なツールである。通常、テクスチャをマッピングする際に同じパターンが繰り返されると、建築パースやCGパースにおいて不自然さが目立ち、リアリティが損なわれる。特に広範囲に同じテクスチャを適用する場合、頻繁に直面することだろう。こうした問題を解決するために開発されたのが、このUVW randomizerである。

UVW Randomizerは、テクスチャの位置、回転、スケールをランダムに調整することで、繰り返しパターンを抑え、より自然でリアルな表現を実現できるツールである。特に、芝生やタイルなど広範囲に適用される素材に効果的で、視覚的なバリエーションを簡単に増やすことができる。

2. UVW Randomizerの使い方

この章では、UVW randomizerの基本的な使い方を解説する。

まずは平面オブジェクトを作成し、アルファベットAが描かれたテクスチャ画像を投影する。

その後、スレートマテリアルウィンドウ内を右クリック、Maps>Corona>【CoronaMappingRandomizer】を選択し、テクスチャとマテリアルの間に適用する。CoronaMappingRandomizerのウィンドウ設定が、どのような効果を与えるのか見ていこう。

CoronaMappingRandomizerウィンドウでのパラメーター調整は、ビューポートでは反映されないので、インタラクティブレンダリングを利用して確認しよう。

まずは「Tiling」の項目。「Randomize each tile」にチェックを入れる。その名の通り、それぞれのテクスチャをランダム配置するかしないかの項目である。後述するメッシュ単位のタイルの設定でなければ、チェックは必須である。そして「Number of tiles」の箇所は、タイリングする回数の設定。今回はわかりやすいように「3」にしている。1つしか表示されていなかった「A」が9つになる。この状態で、パラメーターの「Offset」「Rotate」「Scale」の値を調整していく。

「Offset」のX・Yそれぞれの数値を変更していくと、タイリングがランダム化して配置される。
なお、Aの文字がボケながらタイリングされているのは、「Tiling」の項目の【Blending】パラメーターが0.25に設定されているためだ。ここの数値でブレンド具合が調整されるしくみとなっている。

回転を適用したい場合は、RotateのW I Zの項目を調整するとよい。上画像の設定は、90°ずつの回転(Step)で、0~360°の範囲でランダムに回転させるというもの。

Scaleの項目は、いままでと同様、FromからToまでの範囲内でランダム配置されるというものである。
以上がUVW Randomizerの基本的な使い方である。以降の章では、実際の場面でどのように利用されるか解説していく。

3. 広範囲な地面に適用する方法

広範囲の地面、特に芝生や砂利などの繰り返しが目立つ素材に対してUVW Randomizerを適用することで、リアリティを損なうことなく自然な表現を実現することができる。このセクションでは、ChaosCoronaのUVW Randomizerを使って、広範囲な地面にランダムなバリエーションを与える手順を解説する。

まずは平面オブジェクト(3,000mm×3,000mm)を作成し、UVW Mapモディファイヤを適用し、芝のマテリアルをマッピングする。広範囲に適用されることを想定して、タイリングをU・V共に「3」に設定すると、テクスチャが繰り返し適用される境界が目立つ状態である。

スレートマテリアルウィンドウ上を右クリックより、Maps>Corona>「CoronaMappingRandomizer」を選択して、Diffuse colorのテクスチャに適用させる。

UVW Rondomizerのウィンドウを見ていこう。
まずは一番下の項目「Tiling」の「Randomize each tile」にチェック。その他は、前章と同様に数値を設定していく。

以前まで目立っていたタイリングの境界線が目立たなくなるほど、ランダムにテクスチャ画像がブレンド配置されている。このように、簡単な設定で広範囲に適用するマテリアルは自然な表現が可能になる。

4. タイルを広範囲に適用する方法

次は目地切されたタイルテクスチャのランダム化について解説していく。
テクスチャ画像は、戸建住宅でよく使われるグレイスランド(https://www.biz-lixil.com/product/tile/991/ipf-300-grl-4/)を利用する。

テクスチャ1枚の状態であれば、全く問題はないが、上画像右のように範囲が大きくなると、繰り返しが目立ってしまい不自然な表現になってしまう。これもUVW Randomizerで解決が可能だ。

このテクスチャは、縦横4枚ずつタイル配置されたものである。UVW Randomizer設定項目一番右の「Step」に、この1/4にあたる「0.25」の数値を入力。範囲を0~10にしている。これが意味するのは、X軸方向に1/4ずつランダムに配置するということ。少々わかりずらいが、実際に設定を行うと難しくはない。今回は、はっきりとした境界を設けるランダム化なので、Tilingの「Blending」は0にしている。Y軸のランダム化も同様に行う。

今回は、角度の方にも適用していこう。回転バリエーションの範囲は0~360に設定。STEPの値をそのまま0を適用する、0~360°の範囲内でランダムに回転してしまうので、その範囲(STEP)を90にしている。これは90°ずつ回転するランダム化を指示する設定である。

以上の設定で、大きな範囲にタイルを適用する場合でも、テクスチャ画像の繰り返しが目立たない表現が可能である。上画像のように、範囲が広くなればなるほどその効果はわかりやすい。

5. FloorGeneratorと組み合わせて適用する方法

最後に3dsMax用プラグイン「FloorGenerator」を利用した場合の設定方法を紹介する。FloorGeneratorを解説している記事では、Unwrap UVWを利用した方法を紹介している。併せて確認してみてほしい。

FloorGeneratorによって正方形タイルの芋目地配置が施された状態。このモデルに、大理石スラブのテクスチャを適用すると、上画像のように不自然なマッピングになってしまう。

前章同様に、Diffuse colorに設定しているテクスチャ画像にUVW Randomizerを適用する。今回は、「Randomizer by」の項目から「Mesh Element」にチェックを入れて、以前同様の数値設定を行う。このようなタイプのランダム化については、スケールの項目で変化をつけると、よりよい見た目に変わる。

6. UVW Rondemizerのよくある質問

UVW Randomizerを適用したテクスチャがビューポートに反映されないのはなぜですか?

UVW Randomizerの設定はビューポートでは反映されず、インタラクティブレンダリングまたは本レンダリングで確認する必要があります。

UVW Randomizerを適用すると、テクスチャのクオリティが落ちることはありますか?

UVW Randomizer自体はクオリティを落とすわけではありませんが、スケールやオフセット設定が適切でない場合、テクスチャが歪むことがあります。

UVW Randomizerはどのようなマテリアルにも使用できますか?

基本的にはどのようなマテリアルにも使用可能ですが、特定の複雑なマテリアルやプロシージャルマップの場合、効果が思った通りに現れないこともあります。

UVW Randomizerの「Randomize each tile」オプションの具体的な効果は何ですか?

このオプションにチェックを入れると、それぞれのテクスチャが個別にランダム化され、同じパターンが繰り返されることを防ぎます。広範囲に適用する際に特に効果的です。基本的にはチェックを入れることを勧めます。

UVW Randomizerは異なるマップチャンネルにも対応していますか?

はい、UVW Randomizerは異なるマップチャンネルを使用するマテリアルにも対応しており、さまざまなテクスチャをランダム化できます。まずはDiffuse colorでランダム化を調整し、その他のチャンネルにコピーして適用させるのが一般的な流れです。

7. まとめ

ChaosCoronaの【UVW Randomizer】は、建築パースやCGパースの制作において、広範囲にわたるテクスチャの繰り返しを自然に見せるために欠かせないツールである。繰り返しが目立つ芝生やタイルなどに対して、テクスチャの位置、回転、スケールをランダムに調整することで、リアリティを保ちながら視覚的に優れた表現を実現できる。

この記事では、UVW Randomizerの基本的な使用方法から広範囲での応用、さらにFloorGeneratorとの組み合わせによる高度な活用法までを解説した。これらのテクニックを駆使すれば、ビジュアライゼーションの質を格段に高めることが可能だ。この強力なツールを活用し、CGパース制作における表現力をさらに進化させてほしい。

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