【Photoshop】レンダーエレメントでポストプロダクション【建築パース】

建築CGの分野ではレンダリング後のレタッチはとても重要である。
3DCGの進歩によってその重要性は前より高くないが、いまだ簡単に効果を追加できるので重宝している。

3DCGシーンにおける効果を、2Dソフトでも調整できるように画像化したものをレンダーエレメントと呼ぶ。
レンダリングを行う前に必要なものを選ぶのだが、どれがどのような効果があるのか理解できてない方も少なくないだろう。

この記事では、弊社で行うポストプロダクションの作業をもとに、必要と思われる要素をその効果と共に解説していく。
是非理解して実践してみてほしい。

【この記事の要約:30秒でわかる結論】

  • 結論:Photoshopでのパース後処理は、単なる色調補正ではなく、CGパースの情報設計と印象設計を成立させる最終段階の制御である。レベル補正・色相調整・シャドウ制御・クリッピング制御などを論理的に適用し、情報が正確に伝わる画像として成立させる操作基準を持つことが必須だ。
  • 独自の視点: 後処理は「仕上げ作業」ではなく、視覚情報の優先順位を整理し、空間情報を明確に伝える設計行為である。プロは補正ツールの使い方を暗記するのではなく、何を強調し、何を整えるべきかという目的基準を持って適用する。これが単に見栄えが良いだけの画像と、正確性と訴求力のある成果物を分ける基準である。
  • 読後の結果:読者はPhotoshopでの後処理における基本的な制御要素と判断基準を理解し、意図した空間情報と印象を画像に反映する処理設計を合理的に組み立てられるようになる。
目次

1. Cinema4Dでの準備

まずは3DCGソフトで書き出す情報を選ぶ必要がある。
今回もCinema4D+CoronaRenderにて説明を行っていくが、環境が異なっても内容は大きく変わらないので参考にして頂きたい。


1-1. マルチパスによる設定

Corona Multi-Passウィンドウ。Active passesにMulti-pass配下のLightMix・SKY・SUN・Pendant・P_・DL・Indirectが並び、赤枠でReflect・Refract・Shadows・AO・WireColorの5項目を囲んでいる。右にCorona Interactive LightMix Setupダイアログ(Instanced Lights選択、Layers 12・Memory 3.1 GB、Generate)が開き、黄色い矢印がSetup interactive LightMixボタンを指す

Coronaメニューより「Malti-Pass」を選択してウィンドウを表示。
建築CG静止画のポストプロダクションには、上画像の5項目で十分と考える。それぞれどのような効果があるかは個々に説明していく。Cinema4D上で設定が必要な「AO」と「WireColor」について解説する。

前回の記事で「LightMix」と「LightSelect」でライティングの方法を紹介した。
照明の配置がシンプルであれば、<Active passes>で「Multi-Pass」選択で出てくる「Setup interactive LightMix」+「Generate」クリックで簡単にLightMixの設定が可能。


1-2. アンビエンオクルージョン

AOパスの追加設定。左のCorona Multi-PassでTexmapを選びName「AO」・Type「Texmap」、Apply denoisingにチェック。中央のメニューからcorona>AOを選択し、右のAO Shader属性でOccluded color黒・Unoccluded color白・Level各100%、赤枠のMax distanceに300 mm、Max samples 50、Calculate from Outsideを設定

AO(アンビエントオクルージョン)の項目はデフォルトではないため、「Texmap」を利用して項目を作る必要がある。
「Apply denoising」にチェック、「Map」には>corona>「AO」を選択。AOシェーダーの「Max distance」を300mm(任意)に設定。この数値が影となる長さを指定する箇所になるので、必要に応じて調整してみよう。


1-3. ワイヤーカラーの作り方

WireColorパスの出力結果。ダイニングキッチンのシーンが、天井は黄、レンジフード周りはマゼンタ、吊戸棚は黄緑、床は薄いピンク、ラグは青、椅子は緑というようにオブジェクトごとのベタ塗りで表示され、右のツールバーの自動選択ツールを矢印が指している

オブジェクトの選択範囲情報が欲しい時にワイヤーカラーを利用している。これはオブジェクトに割り当てられたカラーで表示を行っている状態だ。マテリアルやオブジェクトのID設定で選択範囲を作るのが一般的かもしれないが、設定し忘れが起こりやすく、2Dでの作業効率も考えるとこの方法がよりよいと考える。

オブジェクトのカラーを割り当ては、あまり行わないと思うので解説をしておく。

Cinema4Dのビューメニュー。オプションを開き「マテリアル(N〜Q)」のチェックを外す位置を白い矢印が指し、右のビューではマテリアルが外れてオブジェクトの表示カラー(既定のブルーグレー)でグーローシェーディング表示になっている

上部ビューメニューのオプションより、マテリアルの選択を外すと、ウィンドウでの表示がマテリアルでなくオブジェクトのカラーになる。デフォルトではブルーグレーの状態なので、グーローシェーディングでも上画像右のような表示になる。

Cinema4Dでオブジェクトに表示カラーを割り当てる操作。オブジェクトマネージャで「Flooring」を選択し、属性の基本タブで表示カラーを「自動」、その下のカラーボックスに薄いピンクを指定。ビューポートの床がそのピンクで表示されている

わかりやすいように床のオブジェクトに色をつけていく。
オブジェクトレイヤーで床を選択し、属性パレットから、表示カラーを「自動」その下のカラーボックスで色を選ぶ。これで床オブジェクトにカラーが割り当てられる。表示カラーを「オン」にすると、ビューメニューのオプションでマテリアルが選択されている状態でもカラーで表示されてしまうので注意しよう。

同様の対応を、選択範囲が欲しいオブジェクトすべてに行い、ワイヤーカラーを完成させる。


2. Photoshopでレタッチ

マルチパスを保存したPSDをPhotoshopで開いた状態。Render_Dining.psdのレイヤーパネルに上からWireColor・AO・Shadows・Refract・Reflect・Indirect・DL・P_・Pendant・SUN・SKY・LightMix・バックグラウンドが赤枠で並び、キャンバスには黒いキッチンとダイニングテーブルのCGパース

Cinema4Dでの設定を終え、マルチパス画像の保存を行いPhotoshopで開くと、書き出し設定を行ったレンダーエレメントがレイヤー別に表示される。それぞれの利用方法を解説していく。


2-1. ワイヤーカラー/WireColor

WireColorレイヤーを一番下に置き、自動選択ツールで椅子の選択範囲を取った状態。黄色い矢印がレイヤーパネル最下段のWireColorを指し、キャンバス上ではワイヤーチェア1脚に選択範囲の点線が出ている

ワイヤーカラーは一番下のレイヤーに配置しておき、自動選択ツールを使って選択範囲を利用していく。
チャンネルを利用しないので出戻りが少なく、何度も利用できるので効率がよい。


2-2. カラールックアップ/LUT

カラールックアップによる色調補正。プロパティで3D LUTファイルに「filmstock_50.3dl」を指定し、レイヤーの不透明度は60%。赤い矢印が「カラールックアップ 1」調整レイヤーの白マスクを指し、右には調整レイヤーの追加メニューが開いている

カラールックアップを使って色調補正を行う。
「filmstock_50.3d」を60%で適用。左のカウンター部のコントラストが強調され暗くなってしまったので、適用を除外するためマスクを設置して調整。

関連記事
>>【建築パース】カラールックアップ・レタッチテクニック

2-3. アンビエントオクルージョン/AO

AOの合成。レンダリング画像のコピーとAOレイヤーをまとめた「グループ 1」を作り、グループの描画モードを「乗算」・不透明度30%に設定した状態。赤枠でその2項目を囲んでいる

アンビエントオクルージョンは扱いに注意が必要である。
レンダリング画像の上に、乗算やオーバーレイ等で直接ブレンドしてしまい汚れた雰囲気が出てしまってるパターンがよくある。

それを避けるためには、レンダリング画像の上に、そのコピーとAOレイヤーのグループを作り「乗算」でブレンド。グループの中のAOレイヤーは「スクリーン」でブレンド。これを行うことで自然に近い雰囲気でAOをかけられる。カラールックアップの時同様に、濃すぎる箇所にはマスクで調整。全体では不透明度でバランスを見る。


2-4. リフレクション/Reflect(反射)

レイヤーパネルの拡大。Reflectレイヤーの描画モードを「スクリーン」・不透明度100%にし、赤い矢印が黒く塗りつぶしたレイヤーマスクを指している

リフレクションは反射の情報が詰まったレイヤーで、レンダリングでは足りない反射をレタッチで追加していく。
Reflectレイヤーを「スクリーン」でブレンドし、黒で塗りつぶしたマスクを設置して効果がない状態にしておく。

Reflectレイヤーのマスクを白ブラシで塗って反射を足していく作業。WireColorで作った選択範囲の点線が、ペンダント照明・ワイヤーチェア・スツール・オーブン扉に沿って表示されている

反射の足りないところや、強調したい箇所を白・ブラシで塗っていく。その際WireColorを利用して、選択範囲を都度設けながら作業を行うと綺麗に反映される。


2-4. リフラクション/Refract(屈折)

Refract(屈折)レイヤーも同じ手順で処理した状態。描画モードはスクリーン、レイヤーマスクを選択し、ガラス製のペンダント照明3灯とテーブル上のガラス花瓶に選択範囲の点線が出ている

リフラクション(屈折)も反射同様の対応を行う。屈折が起こるのは主にガラス部である。

2-5. BLOOM&GLARE

Corona VFBのPostタブ。BLOOM AND GLAREを有効にし、Size 15.0、Bloom intensity 0.002、Glare intensity 0.70、Threshold 0.050、Color intensity 0.0、Color shift 0.10、Streak count 4、Rotation 15.0、Streak blur 0.0を設定。ペンダント照明に光条が出ている

レンズエフェクトであるBLOOM&GLAREはマルチパスではなく、別画像として保存してから利用する。

BLOOM&GLAREの合成。レンダリング画像のコピーとBloom&Glareレイヤーをまとめた「B&G」グループを作り、描画モードを「スクリーン」・不透明度75%にした状態。赤枠でグループとその中身、モードと不透明度を囲んでいる

AOの時と同じように、レンダリング画像のコピーとBLOOM&GLAREのグループを作り今度はスクリーンでブレンド。BLOOM&GLAREレイヤーは「差の絶対値」を選択。これで強弱、マスクを利用すればオンオフを調整できるようになった。

この方法を利用すると若干エフェクトの効果が弱まるため、BLOOM&GLAREの数値は強めにしてから画像を用意するのがコツだ。


3. ビフォーアフター

Before imageAfter image

<調整中>

以上のレタッチを行った画像と今回のポストプロダクションでの対応前後の比較画像になる。
Shadowsレイヤーは、影が強くでてしまった場合に緩和するために利用するが、今回は必要なかった。
また前回記事で紹介したVFBでのライティング調整も、それぞれのレイヤーが書き出されているので同様な形で利用することができる。


4. レンダーエレメントでポストプロダクションまとめ

以上がレンダーエレメントでポストプロダクションの解説である。

インテリアシーンの場合、劇的な変化は望めないが必要不可欠な作業工程ではある。
3DCGでの手間とレンダリング時間を考えると、どうしてもレタッチに頼りがちになるところがある。しかしレンダリングのリアリティは、レタッチの作業量と反比例すると考える。

ポストプロダクションでの作業は色調補正や効果の追加程度にしておき、3DCGで様々な対応ができるようになるのが、建築CG上達のコツだと思う。

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>>【3DCGを学ぼう】ポストプロダクションとはなにか【建築パース制作】

>>【Cinema4D】インテリアパースのライティングを解説【建築パース制作】

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