インテリアの視覚効果と配色【建築パース・CGパース制作】

住宅の内観パースを作成する際、リビングやダイニングにどのような家具を配置すればよいのか毎回悩むはずだ。
家具の提案書と共に依頼を受ける場合もあるが稀である。

以前に作成した家具データなどを持ち寄って、なんとなく雰囲気で構成しているというのが多いと思う。

今回の記事では、色彩や家具の配置が及ぼす視覚的効果を解説すると共に、その選び方・配色の仕方を補足して説明していく。
このインテリアコーディネートの基本を理解すれば、なんとなくが根拠をもった選択に変わるはずだ。

【この記事の要約:30秒でわかる結論】

  • 結論:インテリアCGパースでは、光・影・マテリアル・色彩・空間構造が互いに影響し合う**複合的な表現設計要素として成立させることが重要であり、それぞれの要素を単独で扱うのではなく、統合的な光環境設計としてコントロールするべきである。
  • 独自の視点: 効果的な室内表現は、単なるツールの使い方やレンダリング設定ではない。プロは光の入射方向・影の落ち方・素材の反射特性・色のバランスを空間の用途や心理的訴求に基づく設計基準として整合させる。 その結果、空間の意図・雰囲気・機能が視覚的に整合したCGパース表現として成立する。
  • 読後の結果:読者はインテリアCGパースの各表現要素がどのように相互に影響し合うかを理解し、複合的な表現設計の判断基準を整理できるようになる。
目次

1. 内装材の配色とその視覚効果

インテリアを構成する壁・床・天井・建具など、内装材の配色の法則について解説していく。

1-1. 天井明度の視覚効果

物を認識する上で、その物の色が黒いと重く見え、白いと軽く見える。これは明度の差で起こる視覚的効果であり、色相にはあまり関係がない。物が軽くまたは重く見えるこの色の効果は、室内の配色にも多く応用されている。
一般的に、天井の色を明るく、床を暗く、壁は天井と床の中間色にするとその空間は天井が高く広々と見せることができる。

天井・壁を白、床をミディアムオークにした洋室。白いロッキングチェアとサイドテーブル、ペンダントライト、引違い窓。床から壁・天井へ明度を上げた配色

床~壁~天井の順に明るく配色していくと、天井が高く見せることができる。白い壁は実際よりも10cmほど高く見えると言われている。壁と天井は同じ色でもOKだ。

天井だけをチャコールグレーの暗い色にした同じ洋室。壁はライトグレー、床はミディアムオーク。天井が低く見え圧迫感が出る配色

天井を暗い色で配色すると天井が低く見え圧迫感が出てきてしまう。黒い天井は実際よりも20cmほど低く見えると言われている。落ち着いた雰囲気を演出したい場合には天井を暗めにするとよい。

天井の明度による見え方の比較。左は白い天井で天井が高く見え、右はチャコールグレーの天井で低く感じる

天井高さの視覚効果だけでなく、壁面や天井の一部を暗い色にすると光の反射率が低下し、部屋全体の照度が下がる。

1-2. 膨張・収縮色の視覚効果

明度の違いには膨張と収縮と言う効果もある。白などの明るい色は膨らんで見え、黒などのの暗い色は小さく引き締まって見える。床の明度の違いによって変化する視覚効果を見ていこう。

床をライトブラウンの明るい木にした洋室。壁・天井は白で、膨張色の効果で広く開放的に見える配色

狭い部屋でもライトブランのような明るい色を床に採用すると、広々と開放的な雰囲気が生み出せる。

床をダークブラウンのウォールナット調にした洋室。壁・天井は白のままで、収縮色の効果で引き締まって見える配色

床に濃い色をもってくると落ち着いた雰囲気が演出できるが、狭くて暗い印象をあたえてしまう場合がある。

床の明度による見え方の比較。左はライトブラウンの明るい床、右はダークブラウンの濃い床。壁・天井はどちらも白

1-3. 柄物クロスの視覚効果

大きな柄の壁紙は手前に迫って見えてしまうので、狭い部屋には小さめの柄がよい。

大きな柄の壁紙を貼った洋室。クリーム地に白いマグノリアの花と緑の葉を大きく配した柄で、壁が手前に迫って見える

大きな柄物の壁紙は手前に迫ってくるような錯覚が生まれてしまう。

小さな柄の壁紙を貼った洋室。同じクリーム地の花柄だが柄のサイズが小さく、壁が後退して広く見える

白っぽい明るめの色で柄の小さな壁紙を選ぶと部屋を広く見せることができる。

柄の大きさによる見え方の比較。左はクリーム地に大きなマグノリアの花柄で壁が迫って見え、右は同じ配色で柄を小さくして壁が後退して見える

壁紙だけでなく、カーテンの選定にも同様の注意を行うとよい。

1-4. ボーダークロスの視覚効果

ボーダーは横長に、縦ストライプは縦長に見せる効果がある。

ベージュとブラウンの細い縦ストライプ壁紙を貼った洋室。コントラストが低く、高さが強調される配色
キャメル地に黒と金の太い縦ストライプ壁紙を貼った洋室。コントラストが強く、部屋が狭く見える配色
縦ストライプ壁紙の比較。左はベージュ系の細く淡いストライプ、右は黒と金の太くコントラストの強いストライプ

縦ストライプは高さを強調する効果がある。ただしコントラストが強く線の太いものを採用すると部屋が狭く見えてしまう。

ベージュとブラウンの横ボーダー壁紙を貼った洋室。横の広がりが強調される一方、天井が低く見える配色

ボーダーは横の広がりが強調されるが、天井が低く見えて圧迫感が出てしまうこともあるので注意が必要。

1-5. 寒色・暖色の後退前進効果

色には手間に迫って見える前進色と、後ろに下がってるように見える後退色がある。基本的に暖色系は前進色、寒色系は後進色にあたる。実際にそれぞれの効果を見ていこう。

奥の壁面だけをオレンジに塗った洋室。他の壁と天井は白、床はライトオーク。暖色の前進色で壁が手前に迫って見える
奥の壁面だけをターコイズブルーに塗った洋室。他の壁と天井は白、床はライトオーク。寒色の後退色で奥行きを感じる配色

奥の壁面を暖色と寒色で色を入れてみている。オレンジの壁面より、ブルーの方が奥行を感じることだろう。
CGパース作成時は、壁面の色は変えられないのでカーテンなどのウィンドウトリートメントの色で調整するとよい。

寒色と暖色の後退・前進効果の比較。左はオレンジのアクセントウォール、右はターコイズブルーのアクセントウォール

1-6. 建具や造作材の配色効果

建具や造作家具の色を決める場合、最も一般的なのが床の色に合わせるパターンである。また、床の色よりも一段階濃い色にすると引き締まった印象を与えることができる。日本に多い配色の方法だが、木目の要素が生まれてくる分、主張が強く出てしまい圧迫感が生まれる場合もある。

建具を床と同じナチュラルオークの木目にした洋室。壁・天井は白で、床と建具の色を揃えた日本的な配色
建具を壁と同じ白にした洋室。床はミディアムオークで、ドアの存在感を消して部屋を広く見せる海外インテリア的な配色
建具の配色の比較。左は床と同じナチュラルオークの木目のドアで木の主張が出る例、右は壁と同色の白いドアで存在感を抑えた例

海外インテリアで建具や窓枠は壁面同色やホワイト系で存在感を強調しない傾向がある。そのため部屋を広く見せることもできる。

2. ダイニングセットの選び方

配置する家具と床の色の関係で、与えられる視覚効果も変化する。特にダイニングセットなどの大きな家具は、部屋を広く見せたり、家具自体を強調したりと見え方も変わる。明るい床と暗い床の2パターンにおいて、床色と似た色のダイニングセット・床色と対照的な色のダイニングセットを配置した場合を見ていこう。

2-1. 明るい床にダイニングセットを配置

明るいライトオークの床に、同系色のライトウッドのダイニングテーブルとチェア4脚を置いた室内。座面はダークグレー

明るい床に同色の家具を置くと、空間が広々と見え統一感が生まれる。

明るいライトオークの床に、濃いブラウンのダイニングテーブルとチェア4脚を置いた室内。家具のラインが強調される

明るい床に濃い色の家具を置くと、家具のラインが強調され印象がひきしまる。

明るい床に置くダイニングセットの比較。左は床と同系のライトウッド、右は対照的な濃いブラウン

2-2. 濃い床にダイニングセットを配置

濃いダークブラウンの床に、明るいライトウッドのダイニングテーブルとチェア4脚を置いた室内。家具が軽く浮いて見える

濃い色の床に明るい家具を置くと、家具が軽く見えてしまうのでボリューム感のあるものや、高級感のあるものにするとよい。

濃いダークブラウンの床に、同系の濃いブラウンのダイニングセットを置いた室内。重厚感があり引き締まった配色

濃い色の床に色の濃い家具を置くと、重厚感があり引き締まった印象が生まれる。

濃いダークブラウンの床に置くダイニングセットの比較。左は明るいライトウッドで家具が軽く見え、右は床と同系の濃いブラウンで重厚に見える

3. ソファの選び方

ソファもダイニングセット同様インテリアに占める割合の多い家具なので、形状や配色など、もたらす効果を把握した上で選択するとよい。

3-1. 背の低いソファを選ぶ

背の低いチャコールグレーの3人掛けソファと木製ローテーブルを置いたリビング。壁・天井は白、床はミディアムオーク

リビングを広く見せるには、背が低いソファを選ぶことが重要。背が高いと圧迫感を与えるため、空間が狭く感じやすくなる。

3-2. 壁紙の色と同じ色のソファを選ぶ

壁と同じライトグレーの3人掛けソファを置いたリビング。ソファが壁に同化して圧迫感が抑えられている

壁の色と同化させることでソファが強調されにくくなり、部屋を広く感じさせられます。日本のインテリアにおいての壁面は白系がほとんどなので、ソファも同系に合わせることで圧迫感を軽減できる。

ソファの色による見え方の比較。左は壁と対照的なチャコールグレー、右は壁と同色のライトグレー

3-3. 素材の持つ雰囲気も加味

ブラウンの布張り3人掛けソファを置いたリビング。ファブリックのマットな質感で温かみのある印象

布張りソファは温かみのある優しい肌触りが特徴でどの年代からも好まれる。

ブラウンの本革張り3人掛けソファを置いたリビング。革の照りとしわが出ており、壁・天井は白、床はミディアムオーク

本革張りのソファは自然の風合いや高級感が魅力である。

4. 収納家具配置の注意点

配置する家具による視覚的な効果を解説していく。

4-1. 背の高い家具配置の場合、色は床でなく壁合わせ

濃いダークブラウンの床に、床色と同じ濃い木目の背の高いキャビネットを置いた室内。圧迫感が出て空間が狭く感じる配色

色の濃い床に、背の高い家具を置くと圧迫感が生まれ空間が狭く感じてしまう。

濃いダークブラウンの床に、壁と同じ白い背の高いキャビネットを置いた室内。壁色に合わせて圧迫感を抑えた配色

どうしても背の高い家具を置かなければならない時は、濃い床に色を合わせるのではなく、明るい壁色に合わせると圧迫感も軽減される。

濃い床に置く背の高い収納の色の比較。左は床色に合わせた濃い木目で圧迫感が出る例、右は壁色に合わせた白で圧迫感を抑えた例

4-2. 床色に合わせ家具を置きたい場合は背を低く

濃いダークブラウンの床に、床色と同じ濃い木目の背の低いサイドボードを置いた室内。明るい壁面を広く見せている

暗い色の床面と同じ色の家具を配置したい場合は、背が低いものにして明るい壁面をできるだけ見せるとよい。

4-3. 高い脚や抜け感のある家具は広さを表現させる

濃い木目の天板に黒い細脚を組んだ抜け感のあるオープンシェルフを置いた室内。床は濃いダークブラウン

色の濃い家具でも抜け感のあるものを選べば、空間を広く見せる効果が期待できる。

4-4. 遠近法も利用する

遠近法を使った家具配置。手前右に背の高い濃い木目のキャビネット、奥に向かって低い収納を並べ、赤い矢印が手前から奥へ下がるラインを示す

背の高い家具を濃い木目で配置しなければならない場合は、手前から奥に向かって低くなるようその他の家具で調整するとよい。目線が奥に集まり、遠近法の効果で広がりが生まれる。

5. カーテンの選び方

建築パース作成時、どうしても家具の配置に労力を注ぎがちであるが、意外と重要なのがカウィンドウトリートメントと呼ばれる窓まわりの製品である。割と大きな面積を占めるので配色に気を付けて選定するべきだ。

5-1. 困ったら白系のコーディネート

白系のカーテンでまとめたリビング。アイボリーのドレープカーテンとライトグレーのソファ、ミディアムオークの床

コーディネートとして特に意図がない場合は、清潔感があり空間を広くみせる効果のある白やアイボリー、安定感があり飽きのこないベージュなどを選ぶとよい。

5-2. クッションなどの小物と色を合わせる

カーテンとクッションの色を合わせたリビング。ブラウンのドレープカーテンとライトグレーのソファ、同じブラウンのクッション

カーテンとインテリア小物のカラーを合わせると統一感があり落ち着いた雰囲気を演出できる。類似色によるグラデーションなど意識するとより雰囲気が出る。

5-3. ソファやチェアの張地と色を合わせる

カーテンとソファの張地の色を合わせたリビング。ダークグリーンのドレープカーテンと同色のソファ、マスタードイエローのクッション

部屋のメインカラーとして構成することの多いソファ・チェアの色とカーテンを合わせれば、より統一感のある雰囲気が出来上がる。

6. インテリアの視覚効果と配色まとめ

以上がインテリアの視覚効果と配色の解説である。

ちょっとしたことでも空間の印象を変えてしまうことが理解できただろう。
このような内容を知っているかどうか、意識しているかどうかでCGパースに及ぼす影響も大きい。

特殊な場合を除きインテリアパースは、広々として開放的な空間の表現が求められる。
ひとつひとつではなく、空間全体として考えることも大切である。

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