ブログ記事盗用(パクり)発覚時に行うこと6つ・実体験からの教訓
オウンドメディア運営をしていると、自分の記事が無断に盗用されるという場面に直面することがある。自身の知識・経験・時間を注ぎ込んで作成したコンテンツが、許可なく他者によって使用されるのは許しがたいことだ。
このような盗用行為は、制作者のオリジナリティと努力を著しく損なうもの。すぐさま強硬な手段に訴えるのではなく、まずは冷静になり、適切な対応を行うことが重要である。
実際に本メディアの編集部も、記事を盗用され対応に奔走した経験を踏まえて、盗用が発覚した際にどう対応すべきかを具体的なステップでまとめている。また、将来的に記事がパクられるリスクを最小限にするための予防策も紹介する。
クリエイティブな労力が正しく評価されるには、こうした知識と行動が不可欠である。読者の方々がこの記事を通じて、大切なコンテンツを守るための一助となれば幸いだ。
1. 魚拓を使って証拠を押さえる
自身の盗用記事を見つけた際、感情は出来る限りコントロールして落ち着き、まずはその証拠を押さえようことに努めよう。
パクリサイトの履歴と自サイトの履歴(念のため)をウェブ魚拓を利用して取得するのがよい。魚拓はパクリ行為が行われた証拠として非常に有力である。そのため、発見次第速やかに証拠の保存を行うことを最優先するべきだ。ウェブページの内容が変更されたり削除されたりしても、この保存した記録によりパクリ行為を証明できる。もしも法的手続きを行わなければならなくなった場合には、必ず必要である。
ウェブ魚拓とは・・・
情報の保管を目的に、Webページをその時点の状態で保存できるサイト。魚拓した内容は基本的には編集できない。
>>公式サイト
2. パクリサイトの情報を集める
次に盗用先の運営者・連絡先の情報を集めよう。個人が運営するサイトではこれらの情報の特定が難しいケースもある。その場合、ドメインの登録情報を調べるWHOIS検索サービスの利用が有効。これにより、運営者の連絡先を間接的に知る手がかりをつかめる。
こちらのサイトでドメインを入力するとドメイン所有者の情報が表示される。以下はモデブログ運用の「moderno-pers.com」で検索した結果である。下部に登録者情報が表示される。
ブログ記事のパクリが発覚した際には、このように証拠の確保と運営者情報の収集に着手し、慎重かつ迅速な対応を心がけるべきである。
3. 運営者に連絡する
著作権侵害を行っている相手へ直接連絡できる状態なら、まずは直接連絡することを検討しよう。連絡を受けたサイト運営者は、通常であれば該当コンテンツを削除するだろう。法的リスクを避けたいからだ。
しかし、相手がこちらの要求に応じてくれない場合や、そもそも直接連絡を取りたくない場合は、次の章で紹介するDMCA通知を送る段取りへ移行しよう。
3-1. メールの文面はどうしたらよいか
まず感情的に書きたいところを抑えて、丁寧な言葉遣いで文章を構成することが重要である。
自分の身分を明らかにし、何の記事について連絡しているのか具体的に記述する。その上で、削除してほしい理由を丁寧に説明しよう。該当する法律や規範を引用して、自分の要求に正当性があることを示すのも効果的だ。最後に、返信期日を設定することで、対応と返信を促すことも重要である。
このサイトでは、具体的なメール文章を紹介しているので参考にしてみるものよい。
3-2. サーバーへの削除依頼
直接の運営者と連絡がつかない場合、サーバーに対して削除依頼を出すのも選択肢の一つである。
しかし、依頼者が直接関係ない第三者である場合、サーバー側が削除に応じることは法的な問題からも少ないようである。もしサーバーへ依頼する場合でも、具体的な理由と共に法的根拠を提示することが求められる。あまりお勧めではない。
4. 検索エンジン(Google)に著作権侵害(DMCA)を報告する
盗用サイトの目的は、最小限の労力で最大限の集客を得ることである。一方、盗用された側の最大の懸念は、自身の記事が検索エンジンから正当な評価を得られなくなることである。どちらも回避する為には、検索エンジンへ被害の通報を行い、インデックスされている記事を表示させないようにしてもらうことだ。
4-1. インデックスされているか確認する
まずgoogleの検索窓にて、盗用されたと思われる記事サイトドメインの先頭に「site:」とつけて検索してみよう。
例:site:https://moderno-pers.com/
この検索結果に該当の記事が表示されている場合は、既にインデックスがされている状態である。つまり検索結果に表示される状態であるので、躊躇なくgooleに通報を行おう。もしも検索結果に表示されていない場合は、これからインデックスされる状態か、既にgoogleの方で重複記事として削除した可能性がある。時間をおいて再度確認してみるのがよいだろう。
4-2. デジタル ミレニアム著作権法に基づく通知を提出する
Googleは、著作権侵害にあたるとされるコンテンツを削除、そのようなコンテンツへのアクセスを無効、登録ユーザーのアカウント停止を検討してくれる。
無断複製されたコンテンツ
出典: Google Developers
一部のサイト所有者は、他の(多くの場合は評判のよい)サイトから取得した(無断で複製した)コンテンツを中心にサイトを作成しています。無断複製されたコンテンツ自体は高品質のサイトからのものであっても、サイト独自の役立つサービスやコンテンツが他になければ、ユーザーに付加価値を提供することはできません。場合によっては、著作権侵害にあたるおそれもあります。また、多数の有効な法的削除リクエストが提出された場合、サイトの掲載順位が下がることがあります。
Googleの対応に期待をして、被害の報告を行おう。
その前に一度、注意点について確認しておいたほうがよい。以下にまとめておく。
□ DMCA通知の際の注意点
DMCA通知は法的な文章のため、申請を行う際には個人情報を提供する必要がある。
その個人情報は、通知した相手に開示されるのが基本(サービスプロバイダが、通知内容をそのまま相手に転送することが多い)である。また、Googleをはじめとする多くのサービスプロバイダは、受け取ったDMCA通知の情報を「Lumen」というデータベースに共有し、公にも開示されることになる。
つまり、相手側や公にも知られることなく、この主張は行えない。
以上を確認したら、「著作権侵害の報告」ページへ移動し、必要事項を記載して報告しよう。
申請フォーム中段部にある「対象著作物の特定と説明」以降について、著作権を主張する自身のサイト情報と、侵害している盗用サイトの情報は間違えないように注意しよう。
当然ではあるが、申請を行った後は自身のサイト内容を変更したりするのは止めておこう。
Googleが用意しているこの申請フォームでは、自身が被った被害をうまく伝えられない!という方も少なくないだろう。証拠や内容説明が不十分な場合は、Googleチーム(removals@google.com)から登録メールアドレス宛にメールが送られてきて、詳細な説明を求められる。
4-3. 報告後の流れ
Googleから追加の情報を求められたら、真摯にその内容に対応しよう。申請フォームと異なりメールの場合は、具体的な被害内容等、説明がしやすいはずだ。他の方の体験談を見る限り、申請フォームだけで主張が通るケースは少なく、Googleチームとのメールやりとりが数回必要となるパターンが多い。
そして何度かやりとりを行い、主張の正当性が確認できたと判断されたら、実際に該当記事の削除が行われる。
4-4. Google 以外にも申請は必要?
Googleの次に利用ユーザーの多いYahoo!Japanは、Googleの検索エンジンを導入している。そのため侵害申請はGoogleに行えばその結果もYahoo!に反映される。
利用ユーザー数は多くないが、Microsoftが運用するBingは、独自の検索エンジンを利用しているので申請を検討しよう。
Microsoftもまた、著作権侵害に関連する報告を行うための専用ページを用意している。しかし申請ページはすべて英文でわかりにくい。
こちらのサイトではBingへの報告方法を詳しく解説している。
4-5. 放置していても検索エンジンは対応してくれる
検索エンジンは、重複するコンテンツのチェックを厳しく行っており、上記の申請を行わなくても自動的にインデックスから除外する機能を持っていることが多い。パクリの程度や規模にもよるが、個々に対応していたらある意味きりがないので、相手にしないでほおっておくのもひとつの手である。
他者の労力を利用して実を得ようとするサイトは、結果が出ずに更新が止まったり、いつの間にかなくなっていたりするのをよく見てきた。申請するだけでもそれなりに時間や手間は必要で、心労も少なからずある。相手にしないという対応も手段のひとつである。
5. 弁護士さんに相談する
運営者に直接連絡をとっても思うような対応をしてもらえない場合や、検索エンジンのインデックス登録削除だけでは問題が解決しない場合は弁護士さんへ相談しよう。初回の相談であれば、比較的費用も低くおさえながら話を聞いていただける。以前、弊社が著作権侵害の相談に赴いた際に教えていただいた内容を中心に情報をまとめておく。
5-1. ブログ記事運用に関する著作権とは
ブログ記事運用における著作権は、テキスト、画像、動画などの創作物が法的保護の対象となっていることを指す。投稿者がオリジナルのコンテンツを作成した際、自動的にその創作物には著作権が発生する。著作権には、著作物を使用したい他者が著作権者の許諾を得る必要があり、無断での使用は著作権侵害となる。ブログ運営者は著作権に対する理解を深め、適切な利用を心がけることが求められる。
5-2. なにが著作権侵害にあたるのか
著作権侵害とは、著作権者の許可なくその著作物を使用する行為を指す。ブログ記事の運用において、特に注意が必要なのは画像の盗用と文章のコピペである。著名な作品だけでなく、インターネット上で見つけた作品すべてに著作権が存在している。許可なく使用すると、著作権侵害となり法的な責任を問われる可能性があるので注意が必要だ。
5-2-1. 画像の盗用
画像の盗用は、著作権侵害の中でも特に発生しやすい事例である。ウェブサイトやSNSで見つけた画像を、許可なく自分のブログ記事で使用する行為は厳禁だ。正しい手続きを踏まずに画像を使用した場合、著作権を侵害することになる。画像を使用したい場合は、著作権フリーの素材を活用するか、必ず著作権者の許可を得るようにしよう。
5-2-2. 文章のコピペ
インターネットには無数の文章が溢れており、ブログやレポート作成時に参考になることも多い。しかし他者が書いた文章を無断でコピー&ペーストする行為は、その著作者への著作権侵害となる。これは単純なコピペだけでなく、文章の一部を少し修正して自分の作品として発表することも含まれる。オリジナルの文章を作成することが重要であり、他者の作品を利用する場合には、必ず許可を得るか、適切な引用を行う必要がある。
5-3. 編集著作権とは
編集著作権とは、すでに存在する著作物の選択や配置を通じて新たな創造性を加えることで生まれる著作権のこと。たとえば、複数の文章や画像を編集し一つの雑誌やウェブサイトを作成する場合、その選択や配置によって新しい意味や価値が生まれたと評価されることがある。この際、元となる著作物の著作権を尊重しつつ、編集作業自体にも著作性が認められる場合があり、それによって新たな著作権が発生する。記事構成を丸ごとパクリ、文章を作成することは、この編集著作権侵害にあたる可能性がある。
ただし、これには高い創造性が要求され、単に著作物を集めただけでは編集著作権は認められないケースも多い。
5-4. 実際に著作権侵害の裁判を申し立てる場合の手順
著作権侵害に関する裁判を申し立てる場合、具体的な証拠収集が最初のステップとなる。侵害された著作権の内容、侵害行為の証拠を集めることが必要。その後、弁護士と相談し、法的措置の必要性と可能性を検討する。裁判所への訴状提出を経て、裁判に臨む。訴訟は時間と費用を要するため、裁判前に和解を模索することも一般的である。
5-5. その場合の費用と期間は?
著作権侵害の裁判にかかる費用と期間は、ケースにより大きく異なる。多くの場合、数十万円から数百万円の費用がかかり、解決まで数ヶ月から数年を要することもある。
弊社が相談した際、裁判をおこなうとすると費用は20~30万円・期間は1年程度かかると言われた。
6. ブログ記事をパクられないための防衛方法
インターネット上でオリジナルコンテンツを公開する際、著作権侵害のリスクが常に存在する。これを完全に回避する方法はないが、著者としては著作権を主張し保護するために、いくつかの基本的な対策を講じる必要がある。これらの対策によって、万が一の盗用発見時にはその対処がより迅速かつ効果的になる。
6-1. コピーライトを記載する
ブログ記事の下部またはフッターにコピーライト情報を明記することは、コンテンツへの権利主張の基本である。この方法だけでは盗用を完全に防ぐことはできないが、訪問者に自身の著作権を意識させる効果が期待できる。
表示例としては、© 2024 [著者名]といったものが考えられ、サイトのフッターに配置するのが一般的である。
6-2. 無断転載お断り明記
記事の冒頭や終わりに「無断転載禁止」の文言を入れることで、読者に著作権の存在を認識させることが可能である。明確に転載を禁止する声明は、潜在的な盗用に対する抑止力となり得る。
6-3. 著者情報の提示する
全ての記事に著者の名前や連絡先を掲載することで、読者や他のウェブサイト管理者に対して、そのコンテンツの正式な所有者が誰であるかを明らかにする。これにより、著作権の主張がより強化されるだろう。
6-4. プラグインの導入する
WordPressなどのコンテンツ管理システムを使用している場合、著作権保護を助ける様々なプラグインが存在する。これらを利用することで、コンテンツの無断コピーを防ぐシステムを強化することができる。
>>WP Content Copy Protection (WP 記事コピー保護) & No Right Click
6-5. 投稿後は早めにインデックス申請を
公開した記事を検索エンジンに迅速に認識させるため、インデックス申請を素早く行うことも重要です。これによって、あなたの記事がオリジナルであることが検索エンジンに認識され、後から同じ内容が投稿された場合、そのコピーは二次的なものとして扱われる。
6-6. パクられないくらいオリジナリティの高いコンテンツを提供する
独自性が高い記事は比較的パクられにくい。経験・体験がないと書けないようなものはSEOの観点からも非常に評価が高いので、記事制作時には常に心掛けたいところ。しかし長年に渡る経験があるからこそ書けるノウハウ記事を盗用された弊社の例もあるので、安心はできない。
7. まとめ
以上が記事の盗用が発覚した際に行うべき対応である。
このような厄介な問題と遭遇した時、焦りや怒りを感じるのは当然である。しかしその一方で、冷静さを保ち、行動を進めることが重要だ。
まずは
□証拠をおさえ
□運営者情報を確認
□運営者へ直接連絡
□検索エンジンへの著作権侵害の報告
の順で対応することをお勧めする。(注意しなければならない点もあるので本文を確認)
インターネット上には無数の情報源があり、記事を執筆する際にはそれらを参考にすることが一般的である。その過程で、意図的でなくても他者の文章と似たり寄ったりのコンテンツを生み出してしまう場合も実際にはある。ここで大切なのは、いかにしてオリジナリティを保ち、自分なりの視点や解釈を加え、価値のある独自のコンテンツを提供できるかだろう。
ブログ記事の盗用は、作成者にとって非常に悩ましい問題である。そうした状況に直面したとしても、冷静に最適な対応を取ることで、大きな損害を避け自身の著作権を守り抜くことは可能である。