カラーのしくみとインテリアコーディネート【建築パース・CGパース制作】

カラーのしくみとインテリアコーディネート【建築パース・CGパース制作】

建築パース、特にインテリアのシーンを作成する際、制作者のセンスに委ねられる場面がよくある。
家具の選定や小物、そのバランスや配色は毎回悩ましいはずだ。

今回はカラーの基本について、そのしくみから組み合わせまでのセオリーを解説する。

インテリアだけではないが、色彩の決定はとても難しい。
しかし論理的な手法と効果を把握しておけば、根拠を持って効果的な選択ができるだろう。

正解のない分野ではあるが、これから解説するカラーとインテリアについての関係を理解すれば
間違いの少ない選択ができるようになるはずだ。

【この記事の要約:30秒でわかる結論】

  • 結論:インテリア空間の色彩設計は、単なる色の組み合わせではなく、空間の用途・心理的印象・素材特性を前提に色の役割を設計する行為である。色の選定と配分を目的基準に基づいて設計することで、空間の印象と機能性が論理的に成立する。
  • 独自の視点: 色は視覚的な印象を形成するだけでなく、空間用途と人間の心理的反応を統合する情報要素である。プロは色の基本理論(主調色・補助色・アクセント)を空間の目的と機能に照らして選定し、何を強調し、何を制御すべきかの判断基準として扱う。これが雰囲気設計と情報伝達の質を決定する。
  • 読後の結果:読者はインテリア空間における色彩の役割と、用途や目的に応じた色彩設計の判断基準を整理できるようになる。
目次

1. カラーのしくみ

色彩計画の解説の前に、色のしくみをおさえておこう。
色とは光に含まれる波長であり、その違いを目が認識して「色」として把握する。そのさまざまな色は大きく分けて2つに分類される。

1-1. 無彩色と有彩色

色の分類図。「色」から「有彩色」と「無彩色」に分かれ、有彩色は色相(色味の違い)・明度(あかるさ)・彩度(鮮やかさ)の3要素、無彩色は明度のみ。明度と彩度をまとめたものが「色調〈トーン〉」と示されている

私たちが色として認識できるものは「有彩色」と「無彩色」に分類される。字の通り、赤・青・黄色などの色味のあるものを有彩色といい、白・グレー・黒などの色味のないものを無彩色と呼ぶ。

有彩色は「色相」「彩度」「明度」の変化によって違いが生まれ、無彩色は明度が変わることで色が決まる。

1-2. 色相環

12色の色相環。時計回りに赤・橙・黄橙・黄・黄緑・緑・青緑・緑青・青・青紫・紫・赤紫が並び、右上を暖色系、左下を寒色系、左上と右下を中性色系と表示している

色相環とは有彩色の純色で12に分類された色配列のことで、色を選ぶ際に指針となるものである。向かい合った色を反対色(補色)、隣の隣くらいまでの色を類似色と呼ぶ。

1-3. 色調(トーン)

色調(トーン)の分布図。縦軸が明度(高い=明るい/低い=暗い)、横軸が彩度(高い=派手/低い=地味)で、左に白からグレー・黒の無彩色列、右にペール・ライトグレイッシュ・グレイッシュ・ソフト・ダーク・ビビッドの6トーンを緑系の円で配置

色調(トーン)とは、明度と彩度を同時にあらわしたもので、色の調子のことである。色相環にある純色に白を少しづつ加えると明度は高く、彩度は低くなっていく。この薄い色の調子を「ペールトーン」と呼ぶ。逆に黒を少しづつ加えていくと、明度・彩度ともに低くなり、くすんだ色になる。このくすんだ調子を「グレイッシュトーン」と呼ぶ。

このように純色に白~黒をまぜることで明るさや鮮やかさが変わり、様々な色調になる。インテリアでは上図の6つのトーンがよく利用される。

ペールトーン PALE

ペールトーンの色見本帯。純色に白を多く加えた、ピンク・サーモン・クリーム・イエロー・ライトグリーン・ミント・水色・ラベンダー・くすみピンクなど淡く澄んだ12色が横一列に並ぶ

純色を白に近づけた淡く澄んだ色相グループ。繊細で叙情的、優しく女性的なイメージを表現するのに適した色である。

ライトグレイッシュ LIGHT GREYISH

ライトグレイッシュトーンの色見本帯。ペールトーンを少し濁らせた、ローズ・テラコッタ・ベージュ・カーキ・セージ・くすんだ青・青紫・紫みの赤など12色が横一列に並ぶ

ペールトーンを少し濁らせた色相グループ。彩度が抑えられているので、落ち着いた大人っぽい雰囲気を表現することができる。

グレイッシュ GREYISH

グレイッシュトーンの色見本帯。ライトグレイッシュより明度を落とした、ワインレッド・こげ茶・オリーブ・深緑・スレートブルー・チャコールパープルなど暗くくすんだ12色が横一列に並ぶ

ライトグレイッシュをさらに明度を落とし暗くした色相グループ。明るくも暗くもなく、落ち着いた色なのでシックで色の印象は強い。

ソフト SOFT

ソフトトーンの色見本帯。ビビッドから彩度を落とした、朱赤・オレンジ・山吹・黄・黄緑・緑・青緑・青・紺・紫・赤紫など12色が横一列に並ぶ

彩度の高いビビッドから彩度を落とした色相グループ。柔らかく、穏やかなイメージがあるがぼんやりした印象もある。

ダーク DARK

ダークトーンの色見本帯。ビビッドに黒を混ぜた、深いえんじ・こげ茶・オリーブ・濃緑・ネイビー・濃紫など重厚な12色が横一列に並ぶ

ビビッドに黒を混ぜた色相グループ。重厚感や格式など求められる表現に多用される。

ビビッド VIVID

ビビッドトーンの色見本帯。彩度が最も高い、赤・橙・オレンジ・黄・黄緑・緑・青緑・青・紺・青紫・紫・赤紫の12色が横一列に並ぶ

彩度が最も高い色相グループ。鮮やかで生き生きとしたイメージを表現でき、視認性を高める目的にも利用される。

1-4. それぞれの色の個性

色には特有のイメージや心理的効果がある。代表的な色に対してその特徴を紹介していく。

赤 : 活動的・情熱的・明るい・興奮・怒り・熱い・強い・生命力・活力・危険・警告
青 : クール・清潔・さわやか・知的・モダン・冷静・神秘的・信頼・神秘的・不安・憂鬱
黄 : 喜び・暖かさ・警戒・かわいらしさ・愛嬌・賑やかさ・騒がしい
緑 : 自然・健康・田園・森・リラクゼーション・公平・安らぎ・癒し
橙 : 暖かい・元気・大衆・健康的・楽しい
茶 : 大地・自然・落ち着き・穏やか・渋い・堅実・地味・安心・おとなしい
紫 : 荘厳・神秘的・高貴・大人・和風・女性的・古典的
白 : 清潔・軽快・ピュア・シンプル・無垢・神聖・未来・平和・自由・善・潔白
灰 : 都会的・ストイック・クール・人工的・無機質・曖昧・落ち着き・シック・不安
黒 :重厚・権威・伝統・先鋭・冷酷・孤独・威圧的・邪悪・高級感

2. 色のバランス

インテリアの色彩計画では、どの色をどのくらい使うかがとても大事である。一般的に言われているのは「ベースカラー」「アソートカラー」「アクセントカラー」の3種類に分けることから始め、それぞれを70%:25%:5%で構成するのがよいとされる。

実際にそれぞれどのような色を選んでいくのか説明していく。

2-1. ベースカラー/70%

ベースカラーとは部屋の大半を占め、基調となる色のことを言う。構成要素としては、床・壁・天井がこれにあたり、基本は白・ベージュ・ブラウンなどのどんな色とも合わせやすい無難なものになることが多い。住宅では天井・壁に白やアイボリー、床は同系色の茶系でまとめるのが日本のベーシックな配色である。

2-2. メインカラー /25%

メインカラーとは、配色をコントロールする、ある意味部屋の主役になる色のことを言う。ソファやカーテン、ラグマットなどの家具がこれにあたり、主張しすぎず単調にもならないよう注意が必要だ。また、色相の異なる色を何色も採用するとまとまりがなくなってしまうので、なるべく同系色で使う色も少なくまとめるとよい。

2-3. アクセントカラー /5%

ベースカラー+メインカラーで構成した空間は、落ち着きがあって安心感が生まれる反面、物足りなさを感じることがある。そこでポイントや引き締め役としての強調色を配置し、空間にメリハリをつけることで解決する。色相環を参考に、メインカラーの反対色や類似色の中から選ぶとよいとされる。

3. 配色パターン

複数の色を組み合わせる配色には、いくつかのパターン・セオリーがある。インテリアに関連する4つの代表的なパターンについて解説していく。

3-1. 同系色

同系色の色見本。青1色の明度と彩度だけを変えた、淡い水色から濃紺、くすんだ青緑までの9色が横一列に並ぶ

同系色のコーディネートとは、同じ色相の明度もしくは彩度だけが異なる色の組み合わせである。ほかの色味が入らないのでまとめやすく、洗練された印象があるが、単調でオーソドックスな側面もある。

インテリアではどの年代でも茶系でまとめる組み合わせが人気であるが、平凡に陥りやすいので、濃淡の付け方とそのバランスに注意して計画を練る必要がある。

同系色コーディネートのソファ2点。左はブルーの本体に水色とターコイズのクッション、右はベージュの本体にブラウンとくすみピンクのクッション
青の同系色でさわやかに(左)・茶の同系色でナチュラルに(右)

3-2. 類似色

類似色の組み合わせ例。黄と橙、青と緑、赤とマゼンタ寄りの紫、緑と青、黄と緑という、色相環で近い色どうしのペアが並ぶ

類似色とは色相環で隣の隣ぐらいまでの色(角度でいうと30~60°)のことを言う。同系色に比べると色の変化を感じることができるが、そこまで大きな差は感じられない程度である。色の性格が似ているため、ぶつかり合うことがあまりない。

比較的無難な組み合わせな為、色の分量に差をつけてメリハリを与える必要がある。

類似色コーディネートのソファ2点。左は赤の本体に黄とオレンジのクッションで暖色系、右はオリーブグリーンの本体に黄のクッションでグリーン系
暖色系で合わせるとあたたかなイメージ(左)・グリーン系の同系で生き生きとしたイメージ(右)

3-3. 同一トーン

色の持つ調子(トーン)を合わせたコーディネイト。上で説明したようにトーンにはそれぞれイメージがある。色相が異なっても、トーンが同じならイメージも同じなので、まとめやすく失敗の少ない組み合わせである。

色数を多くしてもぶつかり合わず、トーンの持つイメージが強調されるという利点もある。

同一トーンのコーディネートのソファ2点。左は水色の本体にピンクとクリームのクッションでパステル調、右はブラウンの本体に黄緑と緑のクッションで暗めのトーン
パステル調の組み合わせは若いファミリー層へ(左)・暗めのトーンはシックに(右)

3-4. 反対色

反対色(補色)の組み合わせ例。黄と紫、青と橙、赤と青緑、緑と赤紫という、色相環で正反対にある色のペアが並ぶ

反対色とは、色相環で正反対にある色のこと(補色)。色のイメージも対蹠的なので、お互いに相手を引き立て合う効果もある。反面、色のバランスやベースにする色の選択を誤ると反発してしまう。

強い反対色は無彩色をベースに、品よく反対色を取り入れるには彩度を抑えるなどの方法がある。

補色コーディネートのソファ2点。左は黄の本体に紫のクッション、右は緑の本体にマゼンタのクッションで、互いを引き立てる強い対比になっている
補色の組み合わせは個性が強い

4. カラーのしくみとインテリアコーディネートまとめ

以上が色のしくみとインテリアの基本記事である。

プロのグラフィックデザイナーやインテリアデザイナーでも色の取り扱いは毎回悩み苦戦をするもの。最後の最後まで色が決まらず、調整を加え続けることも珍しくない。ある程度感覚で判断しなければならない以上、仕方のないことである。

しかし今回最後まで読んでいただくと、意色の決め方は意外とロジカルに行われてるということがわかったかと思う。

誰もが高い水準のセンスを持っているわけでも、百戦錬磨の経験があるわけでもない。
それでもまとまったインテリアが構成できるのは、どれだけそれらを知識として蓄えているかも大きな要素である。

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